看護部
洞爺温泉病院は洞爺湖を一望できる恵まれた自然環境にあります。その恵まれた環境の中で、私たち看護部は患者さんが安心・安全な療養生活に向けて、理念に基づき「優しさと温かさのある看護・介護」を提供できる人材育成を目指しています。
高齢者の終末期ケア・緩和ケアは当院の大切にしている分野でもありますので、日々研鑚を積みながら、職種間連携を行い、生活の質を常に考慮して看護の専門性を高めて地域に貢献して参りたいと思っております。
働きやすい職場(環境)にも着目して、育児休暇制度の利用、保育所の完備・整備、職員送迎バスの充実、病気の早期発見・予防に関わる健康診断の二次検査までの無料化など様々な支援を実施しております。
また、看護師教育にも関心を向け、新人・現任教育や准看護師進学支援も行っています。
遠隔地ではありますが、「学びの姿勢」を保つようにキャリア支援を行い、西胆振地域での地域連携強化を図りたいと考えております。
看護職員一人ひとりが、患者さんの個別性を尊重して看護・介護が実践できるように、自ら活き活きと働き続けられるように努力をして参ります。
看護部の理念
- 思いやりの気持ちを大切に「信頼と満足」が得られる看護・介護を提供します。
- 他職種と連携を図り 「生活の質」向上に努めます。
- 専門職として「学びの姿勢」をもち看護・介護の質向上を目指します。
看護部の基本方針
- 患者さんを一人の人として尊重し、その人らしく生活できるよう支援いたします。
- その人の持てる力を、支え・発揮を促す関わりを目指します。
病棟だより バックナンバー
13.八重桜と共にパチリ!
今回の食のレクレーションは、「昔、家庭で食べた味・調理の仕方の違いが分かる」「おいしい旬を感じ、懐かしむことができる」の2点を目標とし、正面玄関の八重桜が見ごろな時に花見をしよう!と話し合いました。毎回、参加しているメンバーに新規メンバーが数名入り、15〜16名で調理、見学者を入れると30名以上の参加となりました。メニューはお汁粉、桜餅、ふきと天ぷらかまぼこの油いためでした。
Iさんは2回目の参加。ふきの皮むき、天ぷらかまぼこ切り、と「さすが主婦!」と言わしめるほど病棟で一番の包丁さばきを披露してくれました。「疲れた」と言いながらも、表情も良く最後まで参加されて、「全部おいしかった」と、たくさん食べて下さいました。本来、人が持っている「役に立ちたい」という気持ちが、主婦であったIさんの場合は強く、そこが満たされたことで表情が輝いたと思われます。
Kさんは初回参加。最初、声をかけた際には首を横に振られてしまいました。見学しているうちにやる気がわいてきたようすで、初めてとは思えない手つきで、誰よりも多く、きれいに団子を丸めていました。普段は無口な方ですがニコニコしながら、ふきやお汁粉を「おいしい」と何度かお代わりしていました。それまでは、食事の際にデイルームに来ることや車椅子への乗車を嫌がったりしていました。しかしレクレーションの調理に参加したことで「楽しかった」「自分にもできた」という達成感が自信をもたらし、「リハビリを頑張る」「歩けるようになりたい」と、意欲の向上につながったと思われます。
Yさんは自分の店でいも餅を作って売っていたそうです。お店で出している餅よりも小さい団子づくりだったので、勝手が違いましたが、そこは昔取った杵柄で、きれいに丸めていました。病気のため何をするにも、確認を取らなければ行動できない方でしたが、出来上がったお汁粉を食べながら、「次はいつやるんだ!」と希望を持つ発言が聞かれました。楽しさと作ることができた自信が、次への希望につながったのかもしれません。
Tさんは初参加です。老人ホーム時代に培った技術で団子を丸めていました。日によって眠気の強い日がある方ですが、この日はとても絶好調。「おいしい」と笑顔がこぼれ、「この笑顔のために、食のレクレーションをやっているんだ」と、Tさんから元気のおすそ分けをいただいた瞬間でした。
毎度おなじみのHさんは、前回は肺炎のため参加できませんでした。開催日の10日も前から心待ちにしていました。いよいよ待ち遠しさが募り、3日前の夜勤帯では「お汁粉はいつだ!」のナースコール。団子を丸めるお手伝いを少し、食べる方の手伝いはたくさんして下さいました。レクレーションが終わり、Hさんは「2杯しか食べていないと」と不満顔でしたが、実は4杯も食べていました。お汁粉がとても大好きであり、久しぶりの参加を心待ちにしていただけに、いつもの「腹いっぱい食べた」という満足につなげることができず、残念に感じられました。
他にも多くの方が参加し、11時ごろまでには調理も終えたため、正面玄関の八重桜を見に行くことにしました。念願の花見のレクレーションがやっと実現。少し肌寒かったですが、良い天気で、18名の方たちと桜をバックに記念撮影をすることができました。リハビリ課や栄養課のスタッフの方たちが協力してくださり、感謝の念を感じた日でもありました。
今回もメニューは好評でした。ふきの油炒めは、レクレーションの狙い通り、何人かの方が「昔は、魚の粗で炒めた物を食べていた」と、過去を追想することができ、天ぷらかまぼこも「懐かしくておいしい!」と、喜ばれていました。桜の花びらと葉の塩漬けを細かくして桜餅にちりばめ、見た目だけではなく香りも楽しめるように工夫し、春を満喫できることを意図しましたが、どちらかというと残念ながら職員の方が感動していた印象でした。今回は家族の方の参加が得られませんでしたが、面会時にふるまうことができ、どの方も参加された方々と共に「おいしかったと」喜ばれていました。
単調な生活を送っている方々にとって、食のレクレーションがもたらす、大勢でワイワイ言いながら団子を丸める楽しさ、ふきの皮むきなど調理することができた達成感、おいしく食べることができた満足感は、意欲の向上や過去を懐かしむことにつながる意味のあるものであると思いました。
平成27年5月11日 洞爺温泉病院 看護部 西3病棟(介護療養病棟)