看護部

病棟だより バックナンバー

4.〜おとなのひなまつり(季節を感じてもらいたい!)〜

私たちの病棟には、脳疾患による後遺症や特定疾患により身体の自由が得られない方々が多く入院しています。口から食事のできない方、一日のほとんどをベッド上で過ごされている方失語症で喋ることができない方、麻痺により思うように体が動けない方等たくさんいます。部屋の窓から見える景色は毎日同じでベッドから見える風景に変化はあまりありません。最近は日も長くなり、雪も解け始め春はもうそこまで来ています。

"何か季節を感じてもらえないだろうか"と私たちは考えました。3月3日はひな祭りです。今は70〜90才の患者さんですが、以前はお花を飾ったり、おいしいものを食べてお祝いをしてきた人も多いと思いす。そうだ、病棟でひな祭りをしよう。したい!みんなの笑顔が見たい!!季節を感じ楽しんでもらおう!!

まず、何をしたら喜んでもらえるだろうか?果たして何ができるだろうか?僕は看護師になって一年、この企画のメンバーに命ぜられました。ちょっと不安!!業務が終わってからスタッフ皆で考えました。食べ物、ゲーム、飾り付け、あっ唄だ!!思考をこらし企画し当日までに準備することができました。

当日は20人以上の患者さんがデイルームに集まりました。いつもは目を閉じがちな患者さんもお内裏様とお雛様、派手な飾りに目をパチクリして"祭りかな!"という様子。またデイルームには、おしるこ、かぼちゃだんご、甘酒、ひなあられ等、みんなの鼻の穴が大きくなっていました。スタッフもそれ以上でした!

スタートは唄です。すず、カスタネットなど楽器を手に取り、ひな祭りの唄をうたいました。久々のメロディーに懐かしさのためか泣いている方もいらっしゃいました。次はスタッフの一人が桜の木に変身。みんな手に持っている紙で作った桜の花を木へと飾り付けていくゲームです。みんなの花により立派に桜の木が咲きました。最後はお待ちかねのお食事です。みんな待ってましたとばかり、かぼちゃだんご入りのおしるこが配られるとおいしそうに食べられました。ヤケドをしないように温めすぎないようにしました。お代りをする方もいて"あっ、、、夕食に影響が、、、"と心配するのも一瞬、今日はお祭りですから!!会の最後は女雛、男雛になりきって記念写真でパシャッ!!あれっ、学生の時に戻ったみたいだなぁ。あははっ!

"ハレとケ"という言葉があります。今の私達よりもその部分を大切にされてきた方々へ、私たちからのささやかな催しごとを通じて、季節を感じてもらえるお祭りを楽しめたでしょうか。一時間ほどの催しごとでお疲れの患者さんもいて少し心配になりましたが声を出すことですら大変なのに周りの皆と一緒に唄をうたい出した患者さんを見た時は胸がつまる思いでした。今回のお祭りを通して私自身にも少し変化が生まれました。やっぱり人は笑顔になりたいんだと思いました。また、患者さんの秘めたる力に触れ、それを身近に感じとれる看護師を目指したいと思いました。

この時に記念写真をいっぱい撮りました。患者さんの一番の笑顔がおさめられており、各お部屋にたくさん飾られています。写真を見るといつも励まされ、私ももっと頑張ろうと思う今日このごろです。

写真:ひなまつりの様子1写真:ひなまつりの様子2写真:ひなまつりの様子3

平成21年 洞爺温泉病院 看護部


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