看護部
病棟だより バックナンバー
3.〜車に乗ってさあ出発―やっぱり外の空気はおいしい!〜
今日は待ちに待った患者さんとの外出日。空は願いが叶って雲ひとつ無い晴れ!患者さん4人とその奥様(4人の奥様方は院内で知りあい、それぞれのご主人の今後を相談しあい、励ましあい、支え合っているいい仲間で、愛情がいっぱい!)、そして看護師の私たち(私は2年目の看護師でチョット不安)も車に同乗し出発!!
今日の患者さん方はほとんど寝たきりで、外の空気に触れるのは天気の良い日に出る病院周りの車椅子散歩くらいだ。だから、今日一日の外出を楽しんでもらえるように洞爺湖周辺の観光スポットから、所要時間、疲労度、休息などを考えルート作りをした(楽しんでもらえるかな・・・)。とりあえず吸引器など機材は準備万端!私の笑顔もOKだ(!?)。
いざ車が動き出すと外出には乗り気でなかったSさんもご機嫌で、目が合うと手を振り挨拶をしてくれる余裕をみせてくれた。すこし緊張した面持ちのAさんも最初の目的地までの15分位で表情も和らぎ窓から外の景色に目をやるようになった(私の声かけもちょっと効果があったかな)。
そして車は最初の目的地、洞爺湖火山科学館に到着し、みんなで記念撮影。皆さんカメラに視線を合わせ笑顔で手を挙げている。次はレイクヒル・ファームに移動。牧草地のデコボコした草の上をみんなで車椅子を引っ張って移動しながら、牧場内で飼われているウサギやポニー、ヤギを間近で見てここでも記念撮影することができた。Sさんは、「自分はいいから皆の所へ行って楽しんでこい」というように手を振りながら看護師を気遣ってくれる一面も伺えて少しびっくり。
牧場内には自家製アイスクリームのお店があり、家族の方が店の中で食べられるかを確認したところ、快く受け入れてくれた。うれしい!あたたかい気持ちに感謝!
アイスに最初は嫌な顔をして食べないと言っていたSさんも勧めると食べてくれ笑顔。Aさんは冷たさに驚きの表情を見せながらも5口も食べることができた。普段は1口でもすごいことなのに(その姿を見て涙する家族がいらした……)。Bさん、Cさんには目立った変化はないが……、家族の方が「また良い所をさがして来年も来ようね」と話しかける様子を拝見し、喜んでもらえたこと、来年も、と希望につながる気持ちを持てたことに私たちもうれしい思いでいっぱいだ。
通常ならば立ってアイスを食べるカウンターに、車椅子で横一列に並んだ姿をみていると、ベッドに横になっている姿とはちがう凛々しさ、頼もしさを感じた。患者さんを、“患者さん”ではなく“1人の人”としてみつめることを大切にしている私たちであるが、病衣から私服に着替えると、いつも見ているAさん、Sさんではなく年齢相応の人に見えて不思議な感じがした。外出すること、食べることなど健康であれば出来てあたりまえのことなのに……。“あたりまえ”に近づけるかかわりを忘れないでいきたい。
緊張しながらの同乗だったので、何事もなく予定通り3時間で病院に戻ってこられて一安心。私たちの業務は多忙で決して余裕があるわけではないが、短時間でも充実した時間を過ごすことができるよう考えること、そして具体化することが重要なのだと、患者さん・家族の方の様子からあらためて感じることができた。
最後に協力していただいたご家族、快く受け入れてくれたアイスクリーム店の皆さん、配車の準備をしてくれた事務スタッフ、みんなの協力があって良い外出になったことを感謝したい。
平成19年8月 洞爺温泉病院 看護部
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