看護部
病棟だより バックナンバー
10.懐かしいお団子づくり
今回は「春の息吹を感じてもらう」ことを目標とし、その中で自分にもできることを実感してもらったり、次の希望につなげられればという点を期待しながら行いました。結果的には、気候の関係で花見には至りませんでしたが、少しは期待する結果が得られたレクレーションになりました。
当日は、前回と同様に患者さんが少しでもおいしく食べることができ、また喜ぶ顔が見たくて、愛がいっぱいこめられたふかしたイモやかぼちゃ、ふかした赤飯をスタッフが持ち寄りました。前回のお団子づくりでは、声をかけても「私なんかできない」「体の調子が悪いから行かない」と、参加を拒んだ人が多かった印象がありましたが、今回は、前回、参加しなかったHさんが「私もやりたい!」と、片麻痺で手が不自由なのに参加してくれました。健康な手でかぼちゃをこね、団子を作るときは不自由な手を生地に乗せて懸命に丸めている姿に感動しました。そうやって頑張って自分で作ったお団子を「よかった」「おいしかった」と、目を潤ませながら話してくれました。
毎回参加している「白いまんまが食べたい!」のHさんは待つことが大嫌いな方です。当日の朝、胃瘻のボタン交換の為に朝ご飯が食べれず不機嫌でしたが、「こんなご馳走があるなら腹を減らして待った甲斐があった」と、終始笑顔で3皿もお変わりしていました。その日の夕食も完食です。
最近、転棟してきたTさんは娘さんと一緒に参加し、赤飯の桜模様の型取りをしてくれました。「私も母と一緒にやれてとてもよかった。こういうことをやれるのって、とっても素敵ですね」と笑顔でお母さんとお団子を食べていました。その翌日、「母はよっぽど美味しかったのか、楽しかったのかちゃんと覚えているんですよ」と嬉しそうに話してくれ、夜勤者にも「イモ団子、赤飯、美味しかった」「ほんとに懐かしかった」「また食べさせてね」と笑顔で手を握ってくれました。
レクレーションを終え、『こんなに喜んで、昔を思い出し、少しでも癒しになり楽しんでもらえるのなら、「次は何を、いつやろうか」と思う自分がいます』と、スタッフの一人が語っていました。
「健康であれば一人ひとりが、自ら好きな時に好きな分だけ自由に選択して食べられる生活を送ることができるということを考えると、病気のためその自由が失われたそのことに、私たち(看護師・看護補助者)が少しでも近づけるよう、いつも関心を寄せ、どこを支えればいいのかを考え、実行し、“生活の質”を高めることに結びつけることは“看護そのものだ!!”と言える」ということを、今回のレクレーションを通して学びました。
平成25年5月15日 洞爺温泉病院 看護部 西3病棟(介護療養病棟)
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